ネスぺ対策として、ネットワークの冗長化についてまとめました。
自分の試験前の見直し用ですので、間違いがあったらご指摘ください。
目次
ネットワークの冗長化技術
ネットワークの冗長化技術については、以下がある。
- L1 物理層
- スタック (スイッチの冗長化)
- L2 データリンク層
- STP (スイッチの冗長化)
- リンクアグリゲーション (スイッチポートの冗長化)
- チーミング (NICの冗長化)
- L3 ネットワーク層
- VRRP (ルータの冗長化)
- ECMP & IP Anycast (サーバの冗長化)
- L4 トランスポート層
- NAPT (サーバの冗長化)
- DSR (サーバの冗長化)
- L7 アプリケーション層
- リバースプロキシ (サーバの冗長化)
参考:
- 冗長化アーキテクチャつまみ食い | TECHSCORE BLOG
- レイヤごとの冗長化構成がまとめられている。
- L2(チーミング、STP)、L3(VRRP、ECMP & IP Anycast)
L4(NAPT、DSR)、L7(リバースプロキシ)
- 事業継続のためのネットワーク冗長化技術 | 電気設備学会誌
- 機器、経路、ネットワークごとの冗長化構成がまとめられている。
- スタック、VRRP、STP、リンクアグリゲーション
これらの技術のなかで、ネットワーク冗長化をしているL1-L3までの冗長化について、重要そうなところを適当にまとめた。
スタック
スタックとは?
複数のスイッチを1つのスイッチとして扱うことができる。
各スイッチは専用のスタックケーブルで接続する。
動作は標準化されているわけではなく、メーカ独自の機能で実装している。
特徴や課題
【特徴】
- 利用できるポート数を増やすことができる。
- スタックスイッチには設定値が共有されているため、増設や交換が容易。
- ループについて気にすることなく、複数のスイッチを接続できる。
【課題】
- スタック機能のあるスイッチは普通より高価。
- 設定ミスすると、全スイッチに影響を与える。
- FWアップデートなどでスタックが無効になると全体が停止してしまう。
動作原理
スイッチ間はスタックケーブルで接続。機能自体はスイッチメーカで実装。
構築方法
CiscoのCatalystを例にする。
- スタックケーブルをスイッチ間にループになるように接続する。
- スタックマスターを選定(優先度が一番高いもの)
- スイッチにスタックメンバー番号の再設定が起こる
詳しくは以下のサイトを参考
STP
STPとは?
レイヤ2でフレームがループすることを防止するプロトコル。
IEEE802.1Dで規定されている。
特徴と課題
【特徴】
- ループの回避
- 信頼性向上
【課題】
- PCを接続してもすぐに通信が可能にならない(40秒ほど必要)
- STPではVLAN対応していない。
動作原理
動作自体はIEEE802.1Dで規定されている。
【スパニングツリーの構築】
- スパニングツリーが有効なスイッチはBPDUを送信する。
BPDUを受信したスイッチはBPDU内のブリッジIDによってルートブリッジを設定する。
ブリッジIDはプライオリティ+MACアドレスで規定されており、プライオリティは小さいほうが優先される。 - 各スイッチはルートブリッジに至るパスコストが一番小さいポートをルートポートと設定する。
パスコストはコスト値(通信速度が高いほど小さい)で決まっている。
コスト値が同じ場合は、送信元ブリッジIDの小さいものがルートポートとなる。 - 各スイッチは各リンクでルートブリッジに最も近いポートを指定ポートと設定する。
- 残りのポートを非指定ポート(ブロッキングポート)に設定する。
詳細は以下のサイト参照
【障害検知方法】
- ルートブリッジが2秒ごとにBPDUを送信する。
- その他のスイッチはルートブリッジからのBPDUを20秒間(最大エージ時間)受信しなくなると、STPの再構築を実施する。
詳細は以下のサイト参照
構築方法
- STPの有効化(デフォで有効化)
- ブリッジプライオリティの設定
- プライオリティは小さいほうが優先される。
詳細は以下のサイト参照
改善されたSTP
STPは切り替わり時間に数十秒かかることやVLAN対応していないことから、バージョンアップした規格が規定されている。
PVST(Per VLAN Spaninng Tree)
ブリッジIDを拡張することでVLANを表現する。
VLANごとにSTPセグメントを別々に設定できるようになる。これにより、スイッチの負荷分散が実現できる。
詳細は以下のサイト参照
RSTP(Rapid Spanning Tree)
トポロジー変更があっても数秒で再構築される。
IEEE802.1Dで規定されている。
STPではバックアップポートだったポートを代替ポートとバックアップポートとすることで早い切替えを実現している。
以下のサイトが分かりやすいので参考:
MSTP(Multiple Spanning Tree Protocol)
VLANをインスタンスにまとめて、インスタンスごとにSTPを設定できる。
複数のVLANに対して、STPを一気に設定できるイメージ。
IEEE802.1Sで規定されている。
以下のサイトが分かりやすいので参考:
リンクアグリゲーション
複数の物理リンクを束ねて1つの論理リンクとして扱うことのできる技術。
帯域幅増大、冗長化による耐久性向上、負荷分散ができる。
IEEE802.3adで標準化されている。
構築手順としては、2パターンがある。
- スイッチごとに手動でスタティックに設定する
- LACPにより動的に設定する
- LACP(Link Aggregation Control Protocol)はIEEE802.3adの標準化プロトコル
詳細は以下のサイト参照:
- Link Aggregation | ネットワークエンジニアとして
- 特徴や原理、構築方法がまとめられている。
- リンクアグリゲーションとは | Qiita
- メリット/デメリット、構成方法 がまとめられている。
チーミング
サーバ等に搭載した物理NIC(ネットワークアダプタ)を1つの仮想的なNICとして束ねる技術。
耐障害性の強化、使用帯域の向上ができる。
チーミング対応の物理NIC,ドライバが必要(LinuxではBondingドライバを使用)
構築方法としては以下の3パターンがある。
- フォールトトレランス方式
- プライマリNICとセカンダリNICを構成させ、プライマリが障害時にはセカンダリに切り替える方式
- ロードバランシング方式
- 冗長化+負荷分散が実現できる
- スループットはアップする
- リンクアグリゲーション方式
- 冗長化+帯域向上
詳細は以下のサイト参照:
VRRP
VRRPとは?
デフォルトゲートウェイを仮想化するプロトコルであり、 RFC3768で標準化されている。
複数のルータを1つの仮想ルータとして扱うことができる。
特徴や課題
【特徴】
- ルータやL3SWを冗長化できる。
- VRRPグループIDを複数設定することで、ルータやL3SWを負荷分散できる。
- IETF標準プロトコルのため、マルチベンダー環境で実装できる。
- CISCO独自のプロトコルとしてHSRPというVRRPに似た機能がある。
【課題】
- 特にない。
動作原理
- VRRP設定したルータ同士でVRRP広告(VRRP Advertisement)をマルチキャストアドレス(224.0.0.18)で送信し合い、マスタールータを選定する。
VRRP広告に含まれるプライオリティ値が一番高いものがマスタルータとなり、それ以外はバックアップルータとなる。 - VRRPで設定されたルータは1つの仮想ルータに仮想化されて、仮想IPアドレス、仮想MACアドレスを持つ。
仮想ルータ配下のネットワーク機器は仮想ルータと通信を行う。 - マスタルータはVRRP広告を1秒間隔で送信する。
バックアップルータは3秒間マスタルータからのVRRP広告を受信できなかった場合、マスタルータに昇格する。
このとき、配下のスイッチにマスタルータの接続ポートの変更があったことを伝えるために、GARPを送信する。
以下のサイトにVRRPの動作原理やVRRPパケットフォーマットの記載があるので、詳細はそちらを参考。
構築方法
VRRPグループに設定したいすべてのルータに設定が必要。
- VRRPの有効化
- VRRP設定したいVLANインタフェースに、VRRPグループ番号と仮想IPアドレスを設定。
- 仮想MACアドレスは「0000.5e00.01XX」のXXがVRRPグループ番号で決まる。
- VRRPのプライオリティ設定
- VRRPグループ番号ごとにプライオリティを設定。
- プライオリティが高いものがマスタルータとなる。
- プライオリティが同じ場合は、IPアドレスが大きいほうがマスタとなる。
- VRRPプリエンプト設定(必要あれば)
- デフォルトで有効になっている。
- VRRPプリエンプトはバックアップルータがVRRP広告を定期的に出さないようにする機能。
- VRRP関連タイマー値設定(必要あれば)
- タイマーはVRRPアドバタイズIntervalとVRRPマスタダウンIntervalがある。
- デフォルトはVRRPアドバタイズIntervalが1秒、VRRPマスタダウンIntervalが3秒。
設定内容の詳細は以下のサイトを参照。
- VRRP( 仮想IPアドレス、プライオリティ、プリエンプト )設定 | ネットワークエンジニアとして
- VRRP(アドバタイズタイマー、preempt delay、version、認証)設定 | ネットワークエンジニアとして
ECMP & IP Anycast
OSPFやBGPなどのルーティングプロトコルを使ってサーバの負荷分散構成を実現。
詳しくは、以下のサイト参考
DSR
行きはロードバランサ経由でサーバにパケットを送信し、返りはロードバランサを経由せず、直接サーバから返信を行う方式のこと。
ロードバランサの処理不可低減のため、システム全体のスループットは向上するが、現在はロードバランサの性能UPしているため、あまり利用されていないみたい。
詳しくは、以下のサイト参照
- DSR ( Direct Server Return ) | ネットワークエンジニアとして
- DSRの原理やメリット/デメリットがまとめられている。
- DSR | Security Akademia
- メリット/デメリットがまとめられている。
関連情報
参考
以下の書籍やサイトをよく参考にしました。
以上!
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